愛は惜しみなく与う⑤
桜さんはあたしの手を強く握った。
こいつらに拉致られたんか。

手を叩いて歩いてきた男


「あ、岩見」


新に写真を見せられてた。あたしだけ岩見に会ったことがないから。
濃い顔で覚えやすかったし覚えてた。


「さすがさすが!烈火のお姫様がコンテナに入ったって聞いたから驚いてたんだよ。どうやって入ったんだろうって。少し計画は崩れたけど、いいよ。楽しくなってきた」


……計画ってなんや

泉を潰したいならあたしを人質にするはずやろうから、あたしと桜さんを人質交換したいんかなって思ってたんやけど。違うんかな


「とりあえず、寒いねんアホ。女の子をこんなところに閉じ込めておくなんて最低や」


「ごめんごめん。監禁できるところがここしかなくて」


さすがのあたしも、身体は冷え切った。長いことここに居た桜さんは、限界やろう


「あたしを人質に取りたいんじゃないの?」

「物わかりがいいな。そうだよ。その為にその女を拉致ったんだ」


はぁ
申し訳ないことをした
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