愛は惜しみなく与う⑤
桜さんの手を離して一気に間合いを詰める

あたしの動きに、岩見だけ反応したから、隣にいる男から。


踏み込んで男の顎にあたしの拳が入った時、視界に入った光景をみて、自然とあたしは舌打ちをしていた


扉をこえた先で
死角になっていた部屋の空間

そこにも沢山の黒蛇の男がいた


流石に…無理や


「あっぶね!やられるかと思った。ハハハ。流石にひとりじゃ勝てないって悟ったみたいだね」

一歩一歩あたしに近づく岩見


「大人しくしてたら手は出さないからさ?まだ、ね」


あたしの顔に触れた手を振り払う


トンと肩を押されて、また桜さんがいる方の部屋へ。


「もうすぐそこまで烈火が来てるから。それまで少し待っててよ」


そう言って再び扉が閉められた




「杏ちゃん…」


「ごめん。流石に相手できる人数じゃなかった」

1人なら怪我してでもって思ったけど。この人を傷つけるわけにはいかへん


「怪我してない?大丈夫?」


近づいてきてあたしの心配をしてくれる桜さんをみて、胸が痛んだ

あたしのせいか

巻き込んでしまってるな
< 247 / 417 >

この作品をシェア

pagetop