愛は惜しみなく与う⑤

「何があっても守るから。寒ないように毛布かぶってて」


身体も動かしにくくなってきた。
何があるか分からへんから、体を動かしておきたい。
寒いなぁ


「杏ちゃん!こっち!」

うわお
桜さんに手を引かれて、マットの上に座る桜さんの隣へ

桜さんはフワリとあたしにも毛布をかけてくれた


「強いんだね。びっくりした」

「え?あぁ…昔から喧嘩ばっかりしてたからさ」

「あたしよりも細いのに!」

「そうかな?桜さんも細いと思うけど」


しゃがむ桜さんの腰あたりを触ると、きゃあ!と言われる

いやごめんやん。
きゃあ!って言われたもんやから、セクハラした気分になった


「ご、ごめん…」


安心させなあかんのに、なにあたしはセクハラしてんねん


「ふふふ。びっくりしただけだよ!杏ちゃんが来てくれてよかった」


そう言ってあたしに少し体を預けた

そう思ってくれて、あたしの心は救われた。実際問題、自ら捕まりに行ってしまって、泉達には多大な迷惑をかけてる気がする


でも、桜さんの1人の時間が少しでも減ったなら…よかったかな
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