愛は惜しみなく与う⑤
2人を幼い頃から知る志木さんの考えが…1番真実に近いんじゃないのか?

いつもは歯切れよく話す志木さんだが、ぐっも黙り込んでしまった


昔を思い出すように目を瞑り…
ひとつひとつゆっくりと話す



「杏様が…お転婆になる前は…2人は仲が悪かったように思います。仲が悪いと言うべきではありませんね。

杏様は、母親の愛情が自分には向かないことを悟り、諦め、劣等感を感じ、部屋に引き籠るように。

対照的に鈴は、姉への優越感、自分のことを特別と思い、東堂後継者にむけて、日々努力するように。

そんな風に私は…お2人を見ていました。


そこから少し月日は流れ、杏様は東堂組に通うようになり、今の杏様に近づきました。

杏様は…


よく笑うようになった


あの絶望の淵で生きてる意味がないと…泣いていた杏様が、これほどまでに明るく優しく真っ直ぐに育ったことに、私は喜びを感じてました。

そして私は、杏様の望む居場所を杏様とつくった。それが、薔薇です。


薔薇が出来た頃から


杏様と鈴の関係は少し変わってきました。
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