愛は惜しみなく与う⑤
「妹に会わせてください」
「……それはできません」
考えるよりも身体が動いた
自分の焦りと、何もできない不甲斐なさで、何かに当たるしかなかった
「じゃあどうすんだよ!!あんたが時間がないって言ったんだろ!?無理矢理でも…吐かせるしかないだろ!!じゃなきゃ杏は…」
杏はどうなるんだ
「消えてしまう気がする」
志木さんの胸ぐらを無意識に掴みあげていた。志木さんに当たっても意味ないのに
怖くなったんだ
乱れた服を直さずに、志木さんは、今にも泣きそうな声で言った
「杏様を慕う、貴方達だからこそ…それについては教える事はできません」
なんでだよ…
妹にも会わせてもらえない
何か隠してることも教えてもらえない
「俺らはどうしたらいいんだよ。助けたいって思う事しかできねーのかよ!!」
久しぶりだ。この何も出来ずにイライラしてしまう感じは。
杏に出会って…1番初めの頃、差し伸べた手を、取ってもらえなかった時以来だ
なぁ、杏
消えるなんて、言わないよな…
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