愛は惜しみなく与う⑤
ハザマさんは後ろを振り返りキョロキョロした後に、入れよと呟き俺を部屋に入れた


懐かしい


特に変わってないこの部屋も、棚の上の写真たてには、綺麗な奥さんと可愛い子供の写真がある


「こんな時間に何しに来た?組長になにかあったのか?」


ハザマさんは、親父にも尽くしてくれた、大事な組員の1人。
親父の後を継ぐならこの人じゃないのかとまで思っていた


思ってたのに



「ハザマさんは…あの日、杏に…何を言ったんですか?」


あの日…
実家の片付けを手伝ってたあの日。
ゴトウに呼ばれて杏のところへ行ってみれば、様子がおかしかった。

その後杏は何かを話そうとしたけど…朔が拉致られたってなって、話をし損ねてた


親父がゴトウから聞いたと言い、あの時、ハザマと何かあったみたいだって教えてくれて…


最近連絡が取れなかったんだ



「お願いです。何か知ってるな…教えてください」


もう俺にできる事は少ない。それは分かってるから。だからこそ、何かできるなら動きたいし、たとえ自分が慕う人を疑う行為でも…

やるって決めた
< 289 / 417 >

この作品をシェア

pagetop