愛は惜しみなく与う⑤
「そーそー。昨日予告なしで花火上がってたの知ってる?」


奥さんが、ねー!とハザマを見る
花火って……

志木さんが打ち上げてたやつだろ?
流石にそれは言えないか


「こんだけイケメンに育ってくれるなら、男の子も欲しいわね」


きゃっきゃと楽しそうに話す。ハザマさんよりかなり若く見える奥さん。


「俺に似たら、ただのイカツイ男になるだろ」

「え?そんなことないわよ?あなた可愛い顔してるじゃない」


……目の前でラブラブを見せつけられている感じがする。

ご飯も美味しい
杏の飯の方がうまいけどさ

俺はこの人と殴り合いしてでも、あの日のことを聞こうと思ってやってきた。

ここで家族に触れ合うと、少し手を出しにくくなる。


「で、泉くんは何しにきたの?」


笑顔で食べ終えた食器を片付ける奥さんは、俺に聞いてきた

普段ならここで帰るだろう


だけど


杏には時間がない
後1ヶ月も残されてない



「俺は…大事な人を守りたいからここに来た。ハザマさんが知ってる事を話してくれるまで、帰りません」
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