愛は惜しみなく与う⑤
巻き込むのは違うって分かってる。
でもそうでもしないとこの人は、口を割らないから

ハザマさんは言うとは思ってなかったのか驚いた顔をした


「え?何それ?大事な人?彼女?なにそれー!」

きゃーと奥さんは盛り上がるが、俺たちの間で流れている空気とは、正反対


「泉、部屋で話すか?」

「いえ、俺はここで話しますよ。あなたが全て話してくれるまで」


目を逸らさず言った

おかしな空気に気づいたのか、少しオロオロと奥さんはしてしまう。
申し訳ないとは思う

でも、手段を選んでる暇はない



「杏を助けたいんだ。俺の大事な人なんだ。もう…これ以上傷つく杏を見たくない。杏の未来を守りたいんだ」


助けたいんだ。それしか言うつもりはなかったのに、言葉はどんどんと溢れてくる


「何か知ってるなら教えてください。時間がないんです。杏が…居なくなってしまうかもしれない」


泣きそうになった
いろいろな事を想像してしまって、頭が混乱しそうになる

頭を下げた


どうしたらいいか分からない


「ちょっと、あなた…どういうこと?」
< 294 / 417 >

この作品をシェア

pagetop