愛は惜しみなく与う⑤
「鈴ちゃん!素敵だわ。いらっしゃい」
すぐに母上があたしを見つけて駆け寄ってくる。そして愛おしそうにあたしの頬に触れた
こんな母上の嬉しそうな顔
見たことないや
「今日はあなたはゲストよ。普通にパーティーを楽しみなさい。如月家のご挨拶には私と一緒に行きましょうね」
きた
思ったよりも早い
これがあたしのミッションやから。
この訳の分からんパーティーを卒なくこなすのもそうやけど、1番は如月家に探りを入れること
母上がいるのはちょっと面倒な気がするけど、なんとかなるやろ
母上にあらゆる人の所へ挨拶に連れて行かれた
その度にちゃーんと紹介してくれる。
私の娘の鈴ですってな
わかってたけど、自分の娘の顔も判別つかへんとか、不思議で仕方ないわ
赤い絨毯がひかれた道を歩く
そして煌びやかな椅子
そこにあたしは腰をかけた。その傍らには、ちゃっかり志木が
「ご気分は?」
「ええように見えるか」
小さい声でやりとりをする。
たくさんの人が楽しそうに話している。聞こえてくる話はどれも、東堂の経済の話