愛は惜しみなく与う⑤
「さぁな。あれ以来特に、何かやれと言われることもない。サトルはただただ、嬢ちゃんを自分のものにすることしか考えてないらしい。俺がお前と繋がってることも知ってるだろうに何もしてこないのは、きっとサトルの計画がうまく行ってるからだ。

何か手詰まりになったとに俺を使おうとしてるのかも知れないけど。何も言ってこないところから、あいつの計画は順調に進んでいて、俺らなんて、眼中にないんだ」


そう言うことか。
俺たちが何をしようが、どう抗おうが、小さなことに過ぎないのか


本当にむかつく野郎だな

まず志木さんと話そう
この写真がいつの写真なのかも分かるだろうから。



「無茶するなよ」

「無茶しなきゃいけないときは、するさ。それで杏を救えるならな」


俺をじっと見つめるハザマさんは言う


「いい男になったな」

「ハザマさんに思われても嬉しくない」

「るっせ!とりあえずだ。話す機会をくれてありがとな。嫁さんには説明しておくから、帰れ」


窓から押し出される
挨拶しなくていいかな。そう思って少し戸惑うとハザマさんは言った
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