愛は惜しみなく与う⑤
「えーよえーよ。むしろあたし、謎に自ら捕まりに行ってしまっただけやし」


思い出しても間抜けや。結局何もできずに捕まっただけやから、反省


「心細かったけど、杏ちゃんが来てくれたから、頑張れたって言ってたよ」


俺からもありがとう
そう言って慧はにこりと笑った。
そかそか。ほな結果オーライやな

それで気になる事がある


「で、その後ちゃんと話せた?」


慧と桜さんのことが気になってた。恋愛のことを誰かに聞いたりとか滅多にせんから、どう切り出したらええんか分からんけど…

慧の純粋な気持ちを聞いたから、ソワソワしていた。どうなったんやろって

これが世に言う、恋話ってやつやな!?


「あーそうだね。桜さんを家に送り届けてから少しして俺は倉庫に戻ったから…特に何も」

「え??その時に話したんじゃないの?」

「好きだって気づいて、すぐ告白できるほど俺メンタル強くないよ」


慧は力なく笑った
そうなんか。
みんなそうなんやな


「告白って緊張する?」

「もちろん。俺も初めてだけど…好きって言うのはすごく怖い。本当に好きな子に好きだと言うのは、すごく勇気がいることだと思う」
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