愛は惜しみなく与う⑤
あとのことを考えちゃうよね。そう笑う
あとのこと?


「ふられたら、前みたいな関係に戻れるのかな?とか心配になるでしょ?」

ほう!
なるほど


「勉強になります」


あたしがそう言うと慧は手を叩いて爆笑する。いや、おもろいことか?


「杏ちゃんならどうする?」

「え?」

「好きな人ができたら気持ちは伝える?」


慧は優しい顔で聞いてくる。好きな人ができたら?あたし…好きな人ができても一緒にいれへんし…


「ダメ!先のこと考えずに!杏ちゃんの立場とか全部取っ払って?」

「全部とっぱらう?」

「そう!恋愛ってね、そんなのどうでもよくなるんだよ。周りの目とか、世間体とか、日本はこうだから…とかさ。そんなのどうでもよくなるくらい…凄いものなんだよ」


杏ちゃんがそれ程までに好きだと思える人ができたら、どうかな

もう一度そう聞く慧に、あたしは素直に答えていた



「あたしは…好きって思ったら言いたいかも」

かもって付けたんは、ほんまに分からへんかったから。想像しかできひんかったから。
< 316 / 417 >

この作品をシェア

pagetop