愛は惜しみなく与う⑤
「そっか。杏ちゃんはそうなんだね。すごくそれは素敵なことだよ。誰かに思いを伝えるのって簡単なようですごく難しくて。

それが好きな人なら尚更ね。両思いじゃなかったらって思うと怖くなるんだ」

慧はそう言う

桜さんは完全に慧のことが好きや

あたしでも分かった


でも、あたしがそれを言うのもおかしいし、絶対大丈夫やでって言うのも違う



「慧は、今まで通りに桜さんと接することができなくなるかもしれへんから怖いの?」

「…そうだね。今更だと思われるだろうし、もし振られたら…初めてのこの気持ちを受け止めてもらえないと、立ち直れなさそうでさ」


そっか
気持ちはわかるかも。
前みたいに、元通りになれへんこともあるんやろうな。

友達やと思ってたのにって場合もあるやろうしな


でもあたしは

あたしの希望も込めて…


「未来のことを考えたい。振られたら…って思うけど、でも、付き合えたらどんな話しようとか、付き合えたらどこにデート行こうとか……そんな風に未来のことを考えると楽しくなってくるから。だから…付き合えたらって考えて…前に進むのも、大切やと思う」
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