愛は惜しみなく与う⑤
慧は目をまん丸にして、そのあと、ふっと笑った

「流石、杏ちゃんだね!そうだよね。どうなるか分からないことに、ビビってても仕方ないよね。ありがとう。元気出たよ」


「あら、そう?好きな人もできたことないあたしが言うのもなんやけどさ?」


昔は喧嘩ゴリゴリ強かった先輩がいて、その人は好きやったで?憧れやろうけど



「じゃあ、俺のためを思って、真剣に話を聞いてくれた杏ちゃんに、俺からも一つアドバイス!」


慧は座り直して、あたしと目が合うように、あたしの真正面に来る

ん?



「杏ちゃんも、未来を捨てないで。杏ちゃんにもキラキラした未来が絶対あるから。杏ちゃんのことが大好きすぎて、どうにかなってしまいそうな男もいるから」


だからどうか、忘れないで。
杏ちゃんの側には、杏ちゃんを大好きな人たちで溢れてるから


慧はそう言って、あたしのオデコにキスをした



「今まで触れたらダメだって思ってたけど、自分の気持ちが分かったから、下心なく触れるよ」

へ?
どういうこと?
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