愛は惜しみなく与う⑤
あたし、向き合うって決めたから。事件のことだって調べたい。
やのに志木がそうはさせてくれへん。
絶対何か掴んでるはずやのに、教えてくれへん。なんなんやろ
あたしを見て異常なほど笑顔で挨拶に来る大人達
なーーーにが嬉しいんだか
東堂を潰す気はないけど、あたしが継いだら、使えなさそうな奴は全員切ってやる!
すると、見覚えのある顔が
「あの子は確か…」
同じグループ会社の社長の娘
鈴と同い年で、仲良くしていた子だ
何度かあたしも見ている。
目があった途端笑顔で走ってくる。えっと…名前なんやっけ、なんてゆうんや?
名前が浮かばずあたふたしていると、小声で志木が、『沙織様です』と教えてくれた。
だが果たして鈴が、
沙織ちゃんと呼んでいたのか、沙織と呼び捨てにしてたのか、はたまた、さおりんだなんて愛称で呼んでいたのかなんて、あたしには分からない
あんまり深く関わった人は居ないはずやし、笑顔でヘラヘラしとけば大丈夫や思ったけど、この子は別かも
そしてとうとうあたしの目の前まで、たどり着いた沙織ちゃん