愛は惜しみなく与う⑤
口にした事はないけど
そんなありふれた、どこにでもある、普通の未来をあたしは描いていた

最近のことでそんな夢も未来も、一瞬で消え去ったけど。


慧のおかげで、あたしのそんな素朴な夢を思い出せた。
少しくらい頭の片隅に置いておいてもいいんかな。

あたしは慧から、桜さんとのいい報告が聞けるのを楽しみにしておこう。

それがあたしの楽しみになる。


慧は最後に頭をポンポンとして、上機嫌でお風呂先いただくねーと脱衣所へ消えていった。

ふむ

まぁ、慧が元気ならそれでええかな


「下心…下心…」


朔がブツブツと呟く。何ゆうてんねん


「慧のあの清々しい顔、見たかよ」

泉は朔に言う
朔も、それな!ムカつく!と笑っていた

よくわからんけど、みんな仲良しってことでオッケー?


「杏様、決して身体は許さぬようお願いします」

泣き真似をして志木があたしの方にくる。身体を許す?なんやねん


「どういうこと?誰にや、何をや!」

「べ、別に無理矢理何かしようだなんて!!」

「なんであんたが動揺してんねん!」
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