愛は惜しみなく与う⑤
「少し…東堂に戻り、当時の出席名簿を見てきます。その中に…何かつながる人がいると思うので」

志木さんはそう言って今から出ようとする


「さすがに、急に帰ったら杏は、怪しがるんじゃない?」

響は志木さんの背中に声をかけて、出ていこうとするのを止めていた。
俺もそう思う。杏は絶対何かあったと思うだろうから。


「そうですね…手がかりがあるかと思うと、居てもたっても居られなくて」


すみません。落ち着きます。
そう言ってソファに身をあずける


黙っていた慧が、
てゆうかさ?と切り出して言う


「妹さんが、サトルのことを好きで、協力するっておかしくない?」


ずっと考えても答えが出ない、妹がサトルに協力する理由。

うん、やっぱりおかしいよ!そう声をあげた。好きだったから言うこと聞いて言いなりになってるんじゃねーの?


「だってさ?サトルの目的は、杏ちゃんを自分のものにする事でしょ?妹さんがサトルのこと好きなら…それに協力するのかな?」


………たしかに


「他の女とくっつく手助け、しねーわな」


朔もそういう
そうか、そうだよな。


「騙して協力させるようにしたとか?」

「それで死んだ振りするか?東堂の後継者じゃなくなるんだぞ?それ捨ててまで…」
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