愛は惜しみなく与う⑤
「俺はそんな感じがする。女って…尽くすだけじゃ疲れるんだろ?
一方的に尽くすのも、1人で頑張るのも無理でも…2人のためだってなったら、頑張れちゃうもんじゃないのかな。だから…妹は…そんな事もしたんじゃないかな」


そうか

サトルの『杏を自分のものにする』という計画を妹は手伝ったんじゃない

ただ騙して何かを手伝わせたんじゃない


もし2人で杏を陥れる計画をしたとすれば?
そしたら…妹はどんなことでもするんじゃないか?



そんな考えが頭に巡った時

志木さんはボソリと呟いた



「東堂杏 後継者計画」


え?
なんて?


「この間東堂に帰った時、スコーピオンの男が接触してきました。そいつが渡してきた紙にそう書かれていたんです。今それを…響さんの話を聞いて思い出しました」


志木さんはそして慌てた様子になる

どうしたんだ


「東堂杏 後継者計画というのをみて、杏様と2人で首を傾げたんです。計画なんかではないと。杏様は東堂の未来や人を守るために継ぐことを決めたけど…計画と聞くと仕組まれた感じがしませんか?

杏様がまるで、後継者になるのを、サトルが仕組んだかのようにな言い方に…」
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