愛は惜しみなく与う⑤
「鈴ちゃん久しぶりだね!!」


鈴ちゃん…ってことは、あたしは沙織ちゃんでいい?


「ひ、久しぶり」

「あれ?どうしたの?お腹でも痛い?」

「ううん。大丈夫だよ。人が多くて疲れちゃったみたい」

「そう?今日のは人少ないほうだと思うけどね」


これで人少ないんか。墓穴掘りそうやしなんとかしてくれ

チラリと志木をみると、困った顔をして近づいてきた。
そうか、志木はこの子が苦手やったな…


「あ、志木さん。お久しぶりです」

「沙織さん、お元気そうで」

「あたし達女同士の話があるから、志木さんまたね」


沙織ちゃんはそう言って、あたしの手を引いてどんどん志木から離れていく

えっと?

なにこれ

女同士の話??まさかの…ツラかせや的な??

想像と違う展開に戸惑いながらも、大人しく手を引かれたまま。
中庭に出て立ち止まった沙織ちゃん


「で、最近志木さんとどうなの?」


え?


「教えてよー!全然会えてないけど進展あったの?」

これはあれか?所謂恋話ってやつか?
それに志木って…


鈴が好きやしか
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