愛は惜しみなく与う⑤
紙袋を大事そうに抱え、片膝をついてしゃがんだまま、しょんぼりする杏の手をヒョイっと持ち上げ

手の甲にキスをした



「中を見てもいいですか?」


志木さんが聞いても杏は黙ったまま。眉を下げて笑い、杏の返事を待たずに志木さんは、紙袋から箱を取り出して開けた



「はぁ、あなたは本当に。いつもありがとうございます。杏様しか祝ってくれる人がいないので、忘れていました」


箱から取り出したのは、ベルト…



「誕生日おめでとう。クビは嘘やで。老いぼれるまでコキ使う」

「ふふふ。勿論ですよ。あなたの執事に生まれてこれて、幸せです。22年間私はずっとあなたと共に」



ぼーーっと目の前の光景を見ていた。

あんな片膝ついて、女の子の手にキスをするのが、様になる男は志木さん以外いないと思う

杏の老いぼれるまでコキ使うって言葉に笑いそうになったけど



「志木さん誕生日なんですか?」


どうやら今日は志木さんの誕生日らしい。杏は毎年1番初めにプレゼントをあげると約束していたらしい
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