愛は惜しみなく与う⑤
そして見慣れた光景が始まる


「だから、さっきも言ったじゃん。ここは、この公式を使うんだって」


慧が呆れ気味で朔に数学を教えているが、朔は、わけわかんねー!と悶えている

あたしは、ストレスなく勉強したいから、素直な響に教えてる


新のまわりには人だかりが。

あたしも教えれるのに、怖いってゆうて、下の子達が教わりにこない。
失礼しちゃうわ!


「なー、杏?ここは、どうしてこの式になるの?」

「ん?あーそれな。ここで響ちゃんと、公式つこてるやろ?それを整理して見やすくしたら、この式になるねん。イコールで繋がってるから…」


中学の内容やけどな?
響は一生懸命聞いてるから、こっちも真面目に教える


「ちょっと!消しゴム俺のなんだけど!」

「だってわかんねーもん!」

「分からないからって、俺の消しゴム放り投げないでよ!」


慧が朔を怒ってる
そして朔が放り投げた消しゴムは、あたしの頭に直撃していた


わざとか?


「あ、杏ちゃん、ありがとう」

飛んできた消しゴムは慧に返す
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