愛は惜しみなく与う⑤
「ちょっと、聞いてるの?」
「え、あぁ、うん。ごめん」
「なんか変だよ?ようやく志木さんが鈴ちゃんの元に来たんじゃん。それって結構進展だよ?志木さんってすごく冷たいからさ」
志木は… あたしには、優しいよ
「ずっと言ってたもんね」
「え?」
「お姉さんが邪魔だって」
あたしが、邪魔?
目に前の女の子は、悪気なんてない。だって鈴と話してると思ってるから
ただあたしは、目の前で語られる話について行けなかった。
鈴はずっと、あたしを邪魔やと思ってた?
思いがけないところで知る事実
なんやろ
心臓の音が聞こえてしまうんちゃうやろかってくらい、ドクドク音がなる
苦しい
でも、少し感じていた
鈴が時々あたしを、疎ましい目で見てるのを。
でも理由がわからへんかった。
母上に愛されて、いろいろな人に愛されて、将来も期待されて…
可愛がってもらえてるのは鈴やから
あたしを疎ましく思う理由なんてないって思ってた。