愛は惜しみなく与う⑤

母上は何に怒ってたん?髪の毛?婚約者に連絡してなかったから?

それで閉じ込められてんの?


数分静かな部屋に、一人で取り残された。少ししてから物音が聞こえ、ドアが開く



「黒染め、私がさせていただきましょうか」


さっきとは違うお手伝いさんが部屋に来た。
そんな事はどうでもええねん



「この鍵は何?」


あたしがそう言うと、気まずそうに視線を逸らした。


「奥様に必ず鍵をするように言われております」

「ふーーん?なんで?部屋から出られたら困ることでもある?」

「……奥様は、鈴様が結婚から逃げ出そうとしてると思っております」


ほう
なんでや?どこでそうなった

これ以上聞かないでくれという泣きそうな顔をするお手伝いさん。
これ以上聞いたら可哀想か

そして


大好きな人の声がした




「!!!!帰ってきたんだね」



「みのりさん!!」



お手伝いさんの後ろからみのりさんの影が見えて飛びつく


「杏ちゃん…」

あたしの名前を呼んで抱きしめてくれる人

困惑しながらキョロキョロしているお手伝いさんには下がってもらう

何も言えへんよな。何も疑問にも思わないのが、身のためや
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