愛は惜しみなく与う⑤
みのりさんは無理矢理作った笑顔を見せた


「3日前、大事なことがあるって出て行ったね。戻らなくても心配するなって言ってたよ。でも…杏ちゃんを不安にさせるのは、あのバカ息子…叱らなくちゃいけないね」


「そう、か。心配するなって言うなら、信じるしかないな。引き止めてごめん。みのりさん、ありがとう」



これ以上みのりさんの温かさを感じると、あたしも精神的に不安定になってしまう。

そういえば、ここに閉じ込められてるんやった。はぁ

どないしよ



「奥様は…鈴ちゃんがどこにも行かないように、24時間ここを見張らせてる。鍵も外から南京錠がかかってる。奥様は居なくなるかもしれないって不安なんだと思う」


「……わかった。生きる分には不自由せん部屋やし大丈夫。また…会いに来て」



みのりさんの手に少し触れてから扉を閉めた。そうか


そうなんやな

母上は、鈴が居なくなるあの感覚を覚えてるんやな。トラウマになってるんかな


それで監禁ね…

いや、不自由ないから軟禁?

どうでもええか
大人しくしとこ
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