愛は惜しみなく与う⑤
あたしはそれで満足してたけど、鈴は違ったってことや。
志木があたしと一緒に居るのが気に食わなかったんか知らんけど…

だからといって、どうでもいいと思えるほどの存在でもなくて


血の繋がった妹だから


あたしのせいでサトルに狙われたから


エゴなんかもな


それでもいいから。妹のために動く、姉でありたいと思ったんや



「杏様…何か言われましたね」

「ん、大丈夫」

「今にも泣きそうな顔をして…そんなこと言わないでください」


あたしの頬にそっと手を伸ばす志木
その手を軽く払う


「人もいっぱいおるから。鈴とこんな仲良いのなんて、東堂の人も知らんやろ」


だからあんまり、馴れ馴れしくしたらあかん

あくまで、そう言う関係やから。


すみません。そう言って前を向く志木



ごめんな


重々しい空気が二人の間に流れる。そんなことも気にもしないのか気づかないのか。

母上はスキップでもしてるんじゃないかと言う勢いで、こちらへやってきた


「鈴ちゃん!如月家の方が見えたわよ」



……きた



今からが本当の戦いや


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