愛は惜しみなく与う⑤
ちょうど母上がいま、絶好調らしいから。うまく経済が回ってるんやろうな

15分くらい、ひたすら母上がスピーチをしていた。全く内容が入ってこん。
欠伸が出そうになり口元に手を持っていこうと思うと、あたしの隣でずっと立っていた志木に、腕をつねられた

これでいたっ!てあたしが声出したらどうすんの!!!

くそ
鈴のふりしてるし、志木の脚を踏んづけることさえできひん。不便や


そこから母上は経営陣の偉いさんたちをあたしのところへ連れてきた



「鈴ちゃん、覚えてるかな?小さい頃にあったから忘れたか」

「もう、佐竹さん!鈴が4歳くらいの時ですよ?流石に忘れてますわ」


母上は、目の前のおじさんを佐竹さんと呼ぶ。覚えなあかん人や


「すみません、、もう一度自己紹介させてください」


そう言って佐竹さんと握手をした。
この人は、母上が信頼してる経営陣の1人。今後仕事をする上で、この人に頼ることが増えるだろう

媚び売っといて損はないな


帰り際に佐竹さんにはもう一度自分から話しかけておこう
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