愛は惜しみなく与う⑤
志木を筆頭に
東堂組のみんなも良くしてくれたし、薔薇のみんなもあたしのこと仲間やゆうて付いてきてくれたし

今は烈火があたしを家族って言ってくれる。


あたしは愛されてる


だからかな、本当の家族を憎めへんかった。
誰も一緒にいてくれへんかったら、世界の人全員嫌いやろうな

でもあたしには、居たから

あたしをしっかり見てくれる人が



朔を見てて分かった。
暴力振られたりさ…信じられへんけどさ、世の中にはそういう子供もいっぱいおるし。
家庭に幸せがあると思ったら大間違い。


自分で見つけなあかんから
朔も見つけたから、そんな場所を。
だから朔は、優しい子やねん



あたしも人に優しくできる人間でありたい。本当にそう思う。


そして
自分にも、優しくしてあげたかった。


コンコンとノックの音
母上は音の方を振り返る。誰が部屋に来るのか分かっていたのか。


「田畑、入りなさい」


襖の向こうにいる田畑に声をかけた。
田畑か…なんか面倒やな
母上の側近で、常に近くにいる男。


部屋に入ってきた田畑はあたしを見て笑う。
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