愛は惜しみなく与う⑤
はぁ

田畑から渡されたかんざし
シンプル

鈴に似合うってゆうか、シンプルやし、何にでも似合うやん。

しょーもない。毒を吐きそうなやったけど、言葉を呑み込む。
心を穏やかにしとかなあかん。

今はこいつに乱されてる場合ちゃうし



母上の感じやと、如月冬馬本人は、来ないっぽいんか?
それさえも分からへん

ここで誰が来るのかを待ってるだけなんか?


「今日は…冬馬さんは来るんだったかしら?」


あたしが聞きたい…
母上はあたしに尋ねてきた。てゆうことは、ほんまに鈴は、婚約者と定期的に連絡を取り合ってるんだろう

確実に今から来るのは、如月家の御当主の、如月冬馬の父親と母親


緊張する


「私は少し用があって、席を外すので、何かあれば呼んでね。はじめは鈴ちゃんに任せるわね。田畑は、部屋の外で待っていなさい」


母上がおらんのは、好都合やな
後から来るっぽいから、それまでに情報を引き出さなあかん。

本人ちゃうくても


色々聞き出せるよな


つい最近まで、息子さん逮捕されてましたかー?ってストレートに聞けたらええけど。
流石にな…聞けへん
< 46 / 417 >

この作品をシェア

pagetop