愛は惜しみなく与う⑤
鈴は

あたしが知らないところで、何をしてた?


「また時間つくるから」


「本当ですか?あの志木って奴とばかり最近居るじゃないですか!どうしてです!あの杏様の執事ですよ?何を考えてるか分からない。今も尚、姉の杏様の姿ばかり追ってる男です。」


必死に語りかけてくる田畑の言葉は、あたしに1ミリも響かへんし、届いてこない。

約束ってなに?
鈴はこいつに何を与えたんやろう。


ただ不快やけど分かってしまったことは



鈴と田畑は、考えたくないけど、何かしらの関係があったってこと。
鈴が母上の目を盗んで外出してるのなんて、あたしは知らんかった


そらそうか、ほとんど薔薇の倉庫にいたしな。

あたしは



鈴のこと、何も知らんのかもしれへん


なんでこんな奴に…
見返りを求めてくるような奴や。
なんでこんな奴を頼りにしたんやろ


いや、違うか


東堂には、こんな奴しかおらんのや


見返りを求めて働く
だから、トップの母上の言うことは絶対。
誰も逆らわない。

言われた通りにやれば、莫大なお金がもらえるから
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