愛は惜しみなく与う⑤
本当にあたしらを支えたいと思って働いてくれてる人なんて、ほんの一握り。

その中であたしのこと思ってくれたのは、志木の家族だけ


「今から大事な客人と会うのよ。下がりなさい。」


あたしの言葉を聞いて、唇を噛み、失礼しましたと呟いて田畑は部屋から出て行った。


はぁ



よかった


気持ち悪かった

田畑に触れた肩をキュッとにぎる。


あたし、鈴のフリするなら、今後もあんな田畑の相手をせなあかんの?
なぁ
なんで鈴は…そこまでして外に出たん?

何があったん?


そんなことももう
本人には聞けない


あたしには鈴が


わからへん



鈴の気持ちはわからへんわ



次々と入ってくる情報に頭が痛くなる。流石に今のは心が折れそうになった。

でもやらんとアカン


鈴があたしを嫌ってたとしても、鈴が理解のできない事をしていたとしても



あたしのせいで鈴は巻き込まれたんやから


あたしなら恨むわ



やから…頑張るから。自己満でもいい。
何を言われてもいいから…


守りたいものはちゃんと守るから



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