愛は惜しみなく与う⑤
さっきまで泣いていたのに

この人たちは一瞬で杏様を笑顔にする


「皐月ちゃんは?もう帰っちゃったよな」

『佐野は今日は新と出かけてた。杏が帰る日が分かるなら、もう一回会いたいって言ってたぞ』

「え?ほんま?嘘!会いたい会いたい!今から帰る」

「何を言ってるんですか。もうこんな時間に新幹線動いてませんよ」

「志木が車運転したら帰れるやん」

「あなたね…私を不死身か何かだと思ってませんか?2日前に500キロの道のりを往復したんです」


流石にね、さすがの私も疲れましたよ

えーー帰りたい。そういう杏様

ただ明日に帰れるかどうかってところですね。報告会の次の日なんで、東堂の会議がある。まだ杏様には言ってませんが。

嫌がるので…


『帰れる日わかったらすぐ言えよ』

「うん!すぐ言う!てか明日帰る!」

はぁ、絶対そう言うと思ってました。


「明日あなたが、仕事を全て片付ければ帰れます」

「仕事?そんなやることあるん?」

「山程」

沢山の書類に目を通さないといけない。
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