泣かないデネブと嘘つきの夢





マナはヤヨに会いたかった。


「あんなに一緒にいたのに、わたしはヤヨになにも聞かなかった」


ヤヨを傷つけないためには、どんな言葉を選べばいいのかわからなかった。


「それにね、声も姿も、きっと永遠に覚えておくことはできないと思う」


ヤヨのことをだんだん忘れていく薄情なわたしは、もうヤヨに許してもらえないかもしれない。



「それでも、ヤヨの星、見つけられるかな」


「大丈夫だよ、絶対」


カイがささやく。マナはすこし震えた手で、自分の指をカイの指と絡ませた。


「ねえ、ヤヨはもう、わたしたちに会いたくないかな」


振り向きたくなるのを堪えてたずねると、カイがくい、と首をかしげた気配がした。


「それは、聞いてみないとわからないね」






< 4 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop