2度目の人生で世界を救おうとする話。前編




そんな私を見て、神様は「あぁ、よかった」と満足そうにニッコリと笑った。答えなんて決まっていたようなものなのに何て白々しいのだろう。この神様なかなかに策士なのかもしれない。


「それじゃあ、話を戻しますね。アナタのせいで世界が滅びたと言いましたが、正確にはアナタが死んだせいでそれに絶望した誰かがこの世界を滅ぼしたのです」

「え?」


神様の言葉が信じられず思わず神様を疑いの目で見てしまう。
何故ならそんなことはあり得ないからだ。

私は文字通り独りだった。誰からも必要とされず、愛されず、私を欲してくれたのはただ一人、大厄災だけだった。
そんな世界で私の死に絶望してくれた人がいるだなんてあり得ない話だろう。


「……疑っていますね。まぁ、それまでがそれまででしたから無理はありませんね。でも居たのですよ、ただ一人だけ。あの混沌の世界で本当のアナタを見続けていた者が」


悲しそうに神様が笑う。全てを見てきた神様だからこそ言える言葉。何もかもこの神様は知っているのだ。


「じゃあ、その誰かって誰なの?」


もう死んでしまった私だけれど。世界は滅んでしまったけれど。それでも私の死を悲しんでくれた誰かを私は知りたかった。


「それは教えられません。何故なら私は神であり、アナタをもう一度生き返らせるからです」

「はい?」


私の死を悲しんでくれた誰かを知りたかったはずなのに神様から返ってきた返事があまりにも斜め上すぎて思わず変な声を出してしまう。

いや、今日の私、不測の事態が起きすぎて「え?」とか「はい?」とか間の抜けた声ばっかり出している気がする。


  




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