2度目の人生で世界を救おうとする話。前編






そして私は妖に向けて火を放った。


「…くっ!」


それを妖は全て喰らいその場に膝をつく。
今のは挨拶代わりだ。次は首を焼き落とす。


「お前、能力者…」

「…」


攻撃を喰らい、苦しそうに表情を歪めながらこちらを見る妖に次の一手を打とうと私は構えた。

早く攻撃を打ち込まなければ。
妖の人間とは比べ物にならない回復の早さではこの攻撃の意味がすぐになくなってしまう。

その場からゆっくりと立ち上がった妖に今度は先程より強い火を首を狙って放った。
だがその火は今度は妖に当たることなくギリギリの所で避けられた。

ならば次だ。

私の攻撃を避けた妖が今度は反撃しようと私との距離を縮めてくる。
妖は人間と比べて身体能力がずば抜けて高い。
なので妖の拳はすぐ私の目の前まで来た。

避けられないが、避けられないのなら燃やせばいい。


「…っ」


目の前まで来た拳に火を放つ。
するとその拳はそれを避ける為に腕を引っ込めた。

今だ!

この機を逃さまいと最大火力で火を再び放つ。
この距離なら逃れられないはずだ。

だが、その火はまたギリギリで避けられ妖の左半分の首しか当たらなかった。


クソッ!今のは絶好のチャンスだったのに!


「…お前、俺を殺す気がないのか?」


ギリっと悔しさで妖を睨んでいると左半分の首を回復させながら妖が不思議そうにこちらを見つめる。


は?殺す気がないだって?














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