2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「紅!お前、何で!」
扉を開けたのは武だったようですごい勢いで武が私の元へやって来る。その後ろには蒼、琥珀の姿もあった。
武の言いたいことはこれだけでも十分にわかる。
要するに私の実力で何故こんなにもボロボロになっているんだと言いたいのだろう。
「…俺のせいだ。俺が紅を1人にしたからだ」
「そうですよ、琥珀さん。アナタが姉さんを…」
「朱」
私が説明するよりも早く辛そうに琥珀が武にそう説明する。すると朱が私には絶対見せない絶対零度の表情で琥珀を見当違いにも責めようとしたので私はそれを真顔で止めた。
朱はそれに対して「…姉さん」と可愛らしくしゅんと肩を落としていた。可愛らしいが今はそれを許してはいけない。心を鬼にさせてもらう。
「琥珀の所為じゃない。わた…俺が任務中に油断したこと、妖に対して考え方が甘かったことがいけなかったんだ。自業自得だよ。次の任務はもっと気を引き締めるからさ。心配かけさせてごめんね、武。迷惑かけてごめん、琥珀」
心配そうに私を見つめる武にそう説明して辛そうな琥珀に頭を下げる。
「迷惑なんかじゃない。俺の方こそごめん」
「もう、琥珀。謝らないでよ。琥珀は何も悪くないのに…」
それでも未だに辛そうな琥珀に私は何とか楽になって欲しくておかしそうに笑ってみせた。
「この!馬鹿野郎!心配したんだぞ!お前があんな状態で帰ってきて、何時間も目ぇ覚さなくて!気をつけろ!今度から細心の注意を払って任務をしろ!二度と油断するな!」
琥珀に笑いかけていると今度は目一杯武が私を睨んで私に大きな声を出してきた。
どれほど私を心配していたのか怒っているがよく伝わってくる。
「はは、武、おもしろ」
「笑い事じゃねぇ!」
「ごめんって、冗談。本当心配させてごめん。肝に銘じます」
「ああ!任務に行く度に必ず!お前に!言ってやるからな!」
私のヘラヘラした態度がますます気に食わないと言った感じで怒る武に私は再び謝ったが、それでも武の怒っている様子は変わらなかった。