2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
神様、武を騙してしばらくトイレの前で待ちぼうけさせる罪深き私をどうか許してください。
心の中でそんな許しの言葉を冗談混じりに吐き、窓に手を伸ばす。
すると
『許しませんよ。紅』
と、別に本当に許しを請うた訳でもないのに、神様ご本人がいきなり私に声をかけてきた。
「うわっ!え!何!?」
急な神様からのレスポンスに驚きで声をあげる。
「紅!どうした!」
『何!?じゃありませんよ。アナタがこの私に許しを請うたのではないですか』
私の驚きの声に武と神様は各々違う反応をした。
ややこしい!でもとりあえずまずは武を落ち着かせなければ!下手したら緊急事態と判断してトイレに入って来られる!そうなれば作戦は失敗だ!
「…何でもない!落ちてたトイレットペーパーの芯に驚いただけ!」
「…なんだよ。人騒がせな奴だな。びっくりさせんな」
「いやあ、ごめん」
慌てて何でもないことを武に伝えるとトイレの外から非常に大きなため息が聞こえてきたので私はひとまず安堵の息を漏らす。
とりあえずセーフ。