2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「うるさぁぁぁぁぁい!」
武と神様、2人から同時に責められ続けることにさすがに我慢ならなくなり、私は大きな声で叫んだ。
「あ?うるさいだと?」
私の状況が多分いや絶対わからない武が私をギロリと睨み付ける。
武からしてみれば突然私に叫ばれたのだから苛つきもするだろう。
これは甘んじて受けよう。
『神様!』
『はい』
『武にはちゃんと言うからちょっと黙ってて!』
『そうですか。それはよかったです。ちゃんと見ていますからね、紅』
武の視線という名の睨みを受けつつも、まずは神様に静かにしてもらうように心の中で神様に呼びかける。すると神様は先程の様子とは裏腹に今度は落ち着いた様子で私に答えた。
絶対私がこうなるように仕向けたに違いない。
「…おい。黙ってないで何とか言えよ」
神様と話していたのはほんの数秒だったが、武にはそれがわからない。
決して故意ではないが、武を無視している状態の私に武の静かな声が耳に入る。
これは相当怒っている。
そう思いながらも武を見ると私の予想とは違う表情で武がこちらを見ていた。
「…」
どこか苦しそうな表情を浮かべる武。