2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「た、ける?」
あまり見ないそんな武の表情に私は戸惑った。
「…そんなに俺は頼りないか?」
「…え」
武の突然の問いかけに驚きで目を見開く。
「実戦大会の時もそうだったよな。俺に黙って1人で自己解決して。俺に助ける隙も与えない。俺に助ける権利すら与えてくれない。俺はそんなに頼りないか…?」
「…っ」
あまりにも悔しそうに私を見つめる武に何も言えない。
武はあれからずっと今までそんなことを考えていたのか。
武に言ってもわからない。だからあの時も何でもないことだと思って欲しかった。
気にしないで欲しかった。
「…っ」
期待したくない。
期待した分離れるのが辛くなる。来年の今頃には武はもう私の仲間ではいてくれない。
でも私はわがままだ。
そう思うなら今すぐ武やみんなから離れればいい。せめて距離を置けばいい。
それでも私は彼らと時間いっぱい一緒にいたいと願ってしまう。
「…違う。言うよ。ちゃんと言うから。そっちに行くから。手、離して」
苦しい想いを抱きながらも武を見つめる。
「嫌だ。逃げるだろ」
「…に、逃げない」
本当にもう逃げる気はないのだが、今までの私の行動から武は私が信じられないようで私の手を離す気配がない。
これじゃあ身動きが取れない。