2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「逃げない?信用ならないな」
「本当だよ、絶対約束する」
「嘘だ」
「〜っ!信じてくれないの!?」
「紅だって俺のこと信じてないだろう?」
「…っ」
何とか私が〝逃げない〟ことを武に信じさせようとするのだが、武は淡々とそれを否定する。
ついでに私に反論の余地さえなくさせた。
「…そのままこっちに来い。それならいいだろ?」
「…わかったよ」
武にそう言われて私は仕方なく頷く。
まあ、最初からここから出ようとしていた訳だし。
武に掴まれてない方の手に力を入れて窓から全身が外へ出るようにする。
片手だけでもよかったが、武が引っ張って補助をしてくれたのもあり、私は無事この小さな窓から外に出ることができた。
「で?こんなことをした理由はなんだよ?」
未だに私の腕を掴んだまま絶対零度の瞳で武が私を見つめる。
武を撒くことに失敗し、さらにはこんなことになっている今、予定よりも時間がかなり押している。時間が惜しい。もう誤魔化さず本当のことを言おう。
何よりあんな武をもう無視はできない。
私の目的を言えば武に100%邪魔される未来しか見えないが、そうなった場合は全力で武を叩き潰してでも私は行く。