2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
閉めた扉をもう一度、首を傾げながら引く。
「兄さーん!」
「わあ!?しゅ、朱!?」
すると今度はすぐ目の前に朱が居たので私は思わず驚いてしまった。
そしてそのまま朱に抱きしめられた。
「おかえり!兄さん!ずっと待ってたんだよ?何もなかった?怪我はない?」
「大丈夫だよ!てか何で部屋にいるのかな!」
「…え?ダメだった?」
「…んん!いいや!ダメではないけれども!」
私を抱きしめたまま至近距離で私を心配そうに見つめる朱に困惑したまま疑問を口にすると、あまりにも朱が悲しそうな表情をするので私は思わず必死で首を横に振った。
そんな私たちをおそらく後ろで見ていた武から「いや姉弟の距離感じゃねぇだろ」と小さなツッコミの声が聞こえてきたのだが、それについては私も同意したい。
しかも朱は知らないだろうが私たちはこれでも義理の姉弟だ。
こんなにも仲がいいが実は他人なのだ。
朱にとってはただの家族へ向ける親愛の意を表現しているに過ぎないのだろうが、私にとってはどうしても感じ方が違う。まあ、慣れてはいるが。
朱は私に対して距離感がバグっている。