2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
これに関しては幼い頃からそうだった。
「心配だったんだよ?任務なのにおまじないしないとか言うしさ…」
「今回の任務は補助だよ?危険なことなんてない任務だし、そもそも俺にはおまじないなんて必要ないでしょ?」
「…おまじないがあっても任務で怪我をして帰って来たのに?」
「…ゔっ、いや、あれは、えっと」
「何で必要ないって言えるの?」
「…ゔゔっ、いや、だって」
「兄さんは自分が思っている以上に最強じゃないってこと自覚してね」
「…きゅ、急に辛辣」
心配そうな顔からどんどん可愛らしい有無を言わせない笑顔に変わっていく朱にどんどん言葉が出なくなっていく。
しかも朱の大きなお目目は全く笑っていない。
圧しか感じない。
「あー!そうだ!朱!」
「何?兄さん」
「ほらこれ!お土産!」
何とか話を逸らそうと私はわざとらしく大きな声を出す。
そして朱の注目を受けながら一度朱の腕の中から半ば無理やり出て、たくさんある袋を一度置き、その中から朱に買った祭りのお土産を出した。
この間3秒である。
「わぁ!ありがとう!すごく甘い匂いがするね!」
「そう!ベビーカステラです!」
私からお土産であるベビーカステラが入った袋を受け取ると朱はそれはそれはもう嬉しそうに笑ったので私も嬉しくて同じように笑顔を浮かべた。
朱は甘いものが好きなのでベビーカステラを選んでみたが、この朱の反応からもわかるように、私はどうやらきちんと正解を買って来られたようだ。
やったね。