2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「…兄さん」
「ん?何?」
「これ食べさせて欲しいな」
喜ぶ朱の姿を見て満足していると朱が可愛らしい笑顔でいきなりトンデモ発言をしてきた。
…まぁた、いつもの甘え癖だ。
朱は何度も言うけど私の本当の弟じゃないんだよ?他人なんだよ?
だが、それでも私は〝朱〟という愛らしい存在に非常に弱いのでその甘えを跳ね返すことなどもちろんできるわけもなく。
「しょうがないなぁ」
と、照れ臭そうに笑いながらも朱の願いを聞き入れた。
いつか実は他人であったことがバレて警察に通報されませんように。
そう願いながらも朱が持っている袋の中からベビーカステラを1つ出して朱の口元へ運ぶ。
「ん、美味しい」
私の手からベビーカステラを食べると朱は愛らしい笑顔を浮かべながらも美味しそうにベビーカステラを咀嚼していた。
「もう1個」
「はいはい」
もう食べ終わったらしい朱が可愛らしく次を強請ってきたので私は笑いながらもまた同じように朱の口元へベビーカステラを運ぶ。
「…っ!朱!?」
すると朱は私の指ごとベビーカステラを口に入れたのでさすがの私もこれには驚いて声を上げた。
何故、指まで食べようとしてる訳!?