2度目の人生で世界を救おうとする話。前編






「まあまあまあ武も朱も落ち着いて」



2人をこのまま放っておくといつまでも口論を続けそうなので今度は私が2人の会話に割り入る。



「武、確かに側から見たら俺たちの距離感はおかしいかもしれないけどこれが俺たちの普通なんだよ」


まずは武に申し訳なさそうに笑いながらそう伝える。
副声音としては「この距離感はおかしいです。武が正解です。私が犯罪者になる前に助けてくれてありがとう」だ。



「朱、人前ではこういうことは控えよう?世間から見たら俺たちは普通じゃないみたいだし、武みたいに他の人が見たら驚くよ?」



武の次は朱だ。
朱にはとってもそれはもうとても悲しいそうな笑みを浮かべてそう伝える。
こちらの副声音は「言葉の通りであります。私たちは普通じゃないことをここで自覚して人前だけではなくなるべく2人の時も控えて欲しい」だ。




「「……」」



私に声をかけられた武と朱は考えるように少しだけ黙った。



「…わかった」

「わかったよ、兄さん」



そして数秒黙った後、2人は全く納得していないような表情で私に頷いた。


いや、言葉と顔の違いよ!
わかってないでしょ!







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