2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「…そう」
何言ってんだ。この2人。
私は2人の訳の分からない言動に表面上でこそは平静を装っていたが、心の中では呆れつつも非常に困惑していた。
今回の任務はもう何度も!何度も!何度でも!言わせてもらうが危ない任務ではない。
そんなこと実際に同じような任務を受けた蒼と琥珀もちゃんとわかっているはずだ。
何ならこの任務の内容を当主集会の議題として私たちに説明したのは蒼だろう。
なのに何だこの過保護さは!
あれか!?逆に信用ならなくて余計なことはしてないかとか思っているとか!?
しましたけど何か!?
そんなことを思いながら改めて蒼と琥珀を見る。
蒼も琥珀もいつもと変わらないがどこか安堵したような空気を帯びており、とてもじゃないが私を疑っているようには見えない。
やっぱり何故か私は心配されているらしい。
そんなこと1度目では1度もなかったはずなのに。
私は歴代の中でも最強だと言われた能力者なんだから。
「…俺は大丈夫だから。2人も早く部屋に帰ってゆっくり休んで」
どうすればよいかわからなかったが、とりあえず蒼と琥珀にそう言って私は困ったように笑った。
今日はもう遅いし、何より蒼と琥珀も疲れているだろうから早く休むべきだ。
「そうするよ。おやすみ、紅」
「しっかり休めよ、紅」
すると蒼と琥珀はすんなり私の言葉を受け入れ、優しく微笑むと私の頭を撫で、部屋を後にした。
さて、これで私ももう一度寝ることができる。
私は再び眠る為に瞼をゆっくりと閉じた。