2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
side蒼
今回の夏祭り任務の僕のペアは琥珀だった。
琥珀と特に変わったこともなく補助役という任務を終えた僕たちは同じく今日が任務だった紅の元へ真っ直ぐ向かい、紅の無事を確認しに行った。
「…」
「…」
紅の無事を確認し終え、自分たちの部屋に琥珀と共に無言で向かう。
僕も琥珀も紅の無事な姿を見ることができ、とりあえずは安堵していた。
この夏祭りの補助役任務の難易度は1番と言っていいほど低い。だからこそ、紅の復帰後の初任務にはこの任務をと僕は上層部に推していた。
もちろん武や琥珀もだ。
心配する必要はない任務内容。だが何が起こるかはわからないのが任務。紅が担当していた場所に強い妖が現れる可能性だってある。
何より紅は一度、苦戦などあり得ないと思っていた任務で大怪我を負って帰ってきた。
紅は完璧でも絶対的でも最強でもない。
きちんと弱い。
だから僕を初めとした武、琥珀も紅のことが今まで以上に心配なのだ。
「…」
もう紅を何者にも傷つけさせない。
そう誓った。僕自身の手で紅を傷つけたあの時から。
右手には未だにあの感触がはっきりと残っている。一生かけても忘れられないあの嫌な感触が。
次こそは紅を守りたい。
また後悔はしないようにと心に強く誓うと僕は自分の右手を力一杯握りしめた。
この痛みをいつまでも忘れない。