2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
それぞれの思惑と願いと。
1.世界の変化は誰のせいなのか
side紅
祭りの任務から3週間ほど過ぎた。
学校は夏休みに入り、多くの生徒が帰省した為、寮内に残っている生徒は少ない。
私も家には普通に帰りたくないので夏休みは帰省しない、数少ない寮内に残っている生徒の1人だった。
それに付き合う形なのか朱も帰るつもりがないようで寮内に残っている。
あと何故か知らないが武、琥珀、蒼も未だに帰省せずに寮内にいた。
まぁ、前回も同じ感じだったので不思議なのは不思議だが、そうなんですかって感じだが。
「…ふぅ」
クーラーの効いた自分の部屋のソファに腰掛けて一息吐く。
窓から注がれるお昼の日差しが痛い。まさに夏、と言った強い日差しだ。
1人で落ち着ける空間で私は毎度の如く2度目の人生について考える。
今は2度目の夏。最初こそは1度目と何も変わらない2度目を歩んできていたがここに来て1度目の内容とは大きく変わってしまっている。
それもこれも全ては初任務での失態が大きかったのだと思う。
1度目と明らかに違う点は私が把握しているだけでも3つはある。
まずはこれまでに私が受けた任務の数だ。
初任務の失態のせいでもあるが、前回と比べて受けている任務の数が少なすぎる。
次に私と関わる人たちとの関係性。
何故か蒼も琥珀もあの武でさえも私を女扱いする。そしてめちゃくちゃ過保護だ。
最後に龍の存在と私と龍の関係。
1度目の現時点では私はまだ龍の祠の存在のみしか知らず交流などなかった。
だが、今は普通に交流があるし、何より龍は私と同じ2度目だ。
こんなに変わっちゃってるけど世界はどうなの?滅びずに済むの?
あと、忘れてはいけないのが、未だに神様に確認できてないが朱の2度目の可能性についてだ。
今日こそは神様と朱の話ができるだろうか。