2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
side神様
「…神様、今大丈夫?」
紅が私に呼びかける声がする。
だがしかし今は紅に応えられる状況ではないので私はまたその声を聞き流した。
私は紅たちが生きる世界の神だ。
今日も私はここ神域から紅たちの世界を世界のシナリオを見守り、管理する存在としてただ見守る。
この世界にはいくつも世界が存在する。
紅たちが生きる世界には能力と言う力がある。だが別の世界にはその力はない。また別の世界だと魔法と言う全く別の力になっている。
喋る言葉も文化も歴史も何もかも違う。そんな世界がここには無数に広がっている。
そしてそんな世界一つ一つに運命という名の決められたシナリオが用意されているのだ。
シナリオは絶対だ。シナリオはその世界で生きている全ての生物の全ての性格、境遇を把握し、その生物たちが選ぶであろう全ての可能性が反映されている。そしてその上で世界がどのように動くのかを示すのがシナリオだ。
例外などない。
なので、私が見守るこの世界が滅びてしまったことは非常におかしなことだった。
この世界には滅びるシナリオなどなかったからだ。
「…」
ある時期くらいから世界とシナリオに少しずつ違和感はあった。
だがあまりにもその違和感が多すぎて何がシナリオをそうさせたのか気づいた時にはわからなかった。
あの時はまさかあの違和感が世界を滅亡させるまでの大きな歪みになるとは思いもしなかった。