2度目の人生で世界を救おうとする話。前編







世界滅亡のシナリオを回避する為にシナリオが完全に歪み始める前まで、世界の時間を巻き戻してみたが、今のところ世界とシナリオに歪みはない。

1度目と世界が違うことを紅は気にしているようだが、それでもその違いはシナリオの範囲内なのだ。
彼ら次期当主と呼ばれる存在は紅のことをきちんと大事にしていたのであれだけ大事にされるシナリオもきちんとある。

違いと言えば、紅だけが2度目なのでそれによって紅の考え方や世界観が変わり、紅の行動が変わったくらいだが、これも実はシナリオの範囲内での出来事だった。2度目の紅がこのシナリオに現れた時点でそうシナリオが書き換わっているからだ。

だが、私が、そしてシナリオさえも想定していなかったことがある。
それは何故か大厄災である龍に1度目の記憶があったことだ。
それを私は許した覚えはないのだが龍にはそれがあった。

彼は今シナリオ通りあの祠から動けない。だが、これから彼は少しずつ力を取り戻し動けるようになる。そこから2度目である龍はどのようにこのシナリオに影響を及ぼすのか。
シナリオにはもちろん龍が2度目であると記されていない。

つまりこれ以上私やシナリオが把握しきれていない2度目の可能性のある人物が現れればそれだけでシナリオの大きな歪みになってしまうのだ。

そうなればますます世界を滅亡へと導くシナリオの歪みを探すことが難しくなってしまう。









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