2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「やっぱりそうだったんだね。ソファで倒れている兄さんを見つけた時は心臓が止まるかと思ったよ」
私の返事を聞くと朱は今度こそ本当に心から安堵したような笑みを浮かべた。
随分と心配をかけさせたみたいで申し訳ないが、同時にこんな時なのにそんな朱に違和感を覚える。
私の夏風邪は必ず年に一度患うものでいわば恒例のことだ。
今まで夏風邪になる度に朱はこんなにも取り乱していただろうか。
…ダメだ。頭痛い。
考えがまとまらない。
「兄さん。せめてベッドで寝よう?」
うまく考えをまとめられないでいると、朱に心配そうにそう言われた。
「…うん」
とりあえず朱に支えてもらいながらベッドへ向かう。
そして私はふかふかのベッドにやっとたどり着いた。
「これから葉月家に連絡するからね。きっとすぐに医者が来るからもう大丈夫だよ。それが終わったら着替えて寝ようね。今晩は僕がずっと側にいるから」
「…うん」
可愛らしく笑っている朱に「ずっと側にいる必要はない」とツッコミを入れたいところだがあいにく今の私にはそんな元気はない。
なので私はただただ頷いた。
*****
数十分後、それは突然だった。
「紅様!ご無事ですか!?」
一度起きてしまった為か、なかなか眠れず、ベッドの上でうなされているとすごい勢いで私の部屋の扉が開かれた。
「…ん?」
なんだなんだと扉の方に少しだけ視線を向ける。すると10人以上の白衣を着た者たちがずらりと並んで立っているおかしな光景が目に入った。
マジでなんだあれは。