2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
今度こそ許される限りは朱の側に居続けたい。
「…ん」
しばらく朱を見つめていると朱の瞼がピクリと小さく動いた。
「…姉さん」
「おはよ、朱」
ゆっくりと開かれた朱の大きな瞳と目が合う。
眠たそうに私を呼ぶ朱に私はもう一度微笑んで挨拶をした。
「…おはよ、兄さん。体調はどう?」
「もう大丈夫だよ。いろいろありがとう」
心配そうに私を見つめる朱に体を起こしながら元気であることを伝える。
「よかった」
すると特に問題のなさそうな私を見て朱は安心したように愛らしく笑った。
眠っている朱は美しいが笑っている朱はまだまだ幼さがどこか残っていて愛らしい。
我が弟はやはり可愛い。
ベッドの上でそんなことをしみじみと思っているといつの間にか朱が私の着替えを用意して来てくれていた。
相変わらずの手際の良さに感心してしまう。
「さあ、兄さん。着替えよ?」
「そうだね。ありがとう、朱」
朱に手を引かれながらベッドから降りる。
そして私は自分の部屋着に手をかけた。